「節税」の本来の目的はなにか?


「何か節税できる方法はありますか?」

よく聞く話ですが、単に節税だけを追い求めるのは気をつけたほうがよいでしょう。

今回は、節税に対する「考え方」についてのお話です。

誰しもができれば税金は払いたくないですよね。

私も経営者の方から、

「税金を多く払うのはイヤなので、もっと経費を使いたいんだけど」

という話をよく聞くことがありました。

その経費が本当に必要で、手元資金にも余裕があれば問題ないと思います。

ですが、たいていの場合は必要のない無駄な経費であることが多いです。

それでは会社からお金が出ていくだけですし、あまり意味はないでしょう。

そもそも、なぜ「節税をしたい」のか?

それは「少しでも手元にお金を残したい」「税金を払うと損をしたような気分になる」

という思いがあるからだと思います。

では、手元にお金を残すためにはどうしたらよいか。

お金を残すには、まず利益を出す必要があります。

利益が出れば、当然、税金も払うことに。

そうなると、「手元にお金を残すためには、利益を出して税金を払う」しかありません。

簡単な例ですが、

仮に100万円の利益が出るものとして、

①節税で90万円の経費を使った場合

②節税をしなかった場合

とで比べてみましょう。

便宜上、税率を10%として計算してみると下図のとおりになります。

  ①節税する場合 ②節税しない場合
利益   100万円   100万円
経費   ▲90万円     0万円
最終的な利益    10万円   100万円
税金(10%)   ▲ 1万円   ▲10万円
残るお金     9万円    90万円

いかがでしょうか?

税金はたった9万円しか違わないのに、残るお金は81万円も違いますよね。

これに対して、出て行ったお金は、

①節税した場合 ・・・ 経費▲90万円 + 税金▲1万円 = ▲91万円

②節税しない場合 ・・ 税金▲10万円        = ▲10万円

となり、節税した方が、会社から出ていくお金が多くなってしまいます。

この図はちょっと極端な例ですが、

利益を出して税金を払った方が、結果的に手元にお金が多く残ることがわかります。

お金を使わない節税もたしかにありますが、

ほとんどの「節税」は、「お金が出ていくこと」によるものです。

もちろん節税することを否定はしません。

ですが、過度に節税を追い求めることは、

手元に残るお金を減らすだけで、かえってマイナスになることもあります。

節税をする際は、手元に残すお金のことも考えながら、バランスよく検討した方が良いでしょう。


PAGE TOP